椎間板ヘルニア

Disc Herniation

 

椎間板ヘルニア

ミニチュアダックスフンドで発症例の多い椎間板ヘルニア。
当院は犬の椎間板ヘルニア手術は年間で100件以上、これまでに2,000件以上の実績があります。

読影および治療のアドバイスおよび協力を以下の先生方にお願いしております。
藤田医科大学医学部脳神経外科 長谷川光広教授
大阪府立大学特任講師 獣医CT・MRI研究会会長 嶋崎等先生
安部どうぶつ脳神経外科クリニック 安部欣博先生
戸田動物病院 院長 戸田州信先生
日本獣医生命科学大学獣医外科学研究室 原田恭治准教授
近畿動物医療研修センター 山本竜平先生、中村晃三先生
日本獣医生命科学大学 鈴木周二先生
ミズーリ州立大学動物医療センター及び大学病院の専門の先生方

 

検査ご希望の方は、予約が必要となります。予約受付は9:00~19:00までいつでもOKです。かかりつけの病院がある場合は、かかりつけの先生の紹介が必要です。
 
検査・治療・手術紹介状
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かかりつけ動物病院様の紹介状を必ずお持ちください

椎間板ヘルニアとは

動物の体を支える背骨(脊柱)のクッションである椎間板が異状を起こし、脊柱管内部を走る脊髄が圧迫されることで痛みや麻痺などの症状が起こる疾患です。
 
神経学的検査・CT検査・MRI検査など各種検査は、椎間板ヘルニアの発症部位と重症度判定および他の疾患との鑑別につながり、治療方針の決定に大変有用です。
 
椎間板ヘルニアの症状は発症部位と進行度合いにより様々です。症状と圧迫が軽度な場合は内科的治療と絶対安静(ケージレスト)、症状と圧迫が重度な場合は外科的治療を行います。

椎間板ヘルニアには種類があります。正確な診断が重要です。

ハンセンⅠ型

椎間板が損傷し内部の髄核が脱出して脊髄を圧迫することで発症します。若齢から高齢までの全年齢層の軟骨異栄養性犬種に、急速に発症することが多いタイプの椎間板ヘルニアです。胸腰部および頚部が主な発症部位です。
起こりやすい犬種
ミニチュアダックスフンド、ウエルシュコーギー、ペキニーズ、トイ・プードル、ビーグル、フレンチブルドッグなど
症状
  • 胸腰部椎間板ヘルニア:後ろ足がふらつく・ひきずる、後ろ足が麻痺する、背中を痛がる、抱くと痛がる、何もしていなくても痛がる、自力排尿ができなくなる、後ろ足が痛みを感じなくなる
  • 頚部椎間板ヘルニア:首を痛がる、抱くと痛がる、何もしていなくても痛がる、首が上げられない、前足後ろ足がふらつく・ひきずる・転ぶ、首から下が麻痺し立ち上がれない

検査
神経学的検査、CT検査、MRI検査、血液検査、レントゲン検査など

ハンセンⅡ型

加齢により膨隆した椎間板が脊髄を圧迫することで発症します。
高齢のあらゆる犬種で慢性的に進行するタイプの椎間板ヘルニアです。
起こりやすい犬種
比較的大型犬に多いとされていますが、どの犬種でも発症する可能性があります。
症状
ふらつく、前足や後ろ足を痛がる、足が麻痺するなど
検査
神経学的検査、CT検査、MRI検査、血液検査、レントゲン検査など 

当院は事前に神経学的検査・CT検査・MRI検査等を行い、
椎間板ヘルニアの発症部位および髄核の脱出状況、症状に応じて最適な治療を行っています。 

治療

症状の進行度合いと脊髄の状態を確認した上で治療を行います。

内科的治療:
ハンセンⅠ型の内科的治療
ケージレスト(絶対安静)、ステロイド療法など
ハンセンⅡ型の内科的治療
ケージレスト(絶対安静)、ステロイド療法など

注射による内科的治療

外科的治療:
検査・手術は気管チューブを通したガス麻酔で維持し、心電図、呼吸、体温等の各種モニターを常時確認しながら行います。

第一手術室第一(クリーンルーム)

第二手術室(クリーンルーム)

第三手術室(クリーンルーム)

ハンセンⅠ型の外科的治療(1)
胸腰部椎間板ヘルニアで片側からの圧迫の場合
髄核が右側あるいは左側に偏って脱出している場合には、手術室(陽圧クリーンルーム)内の手術台で片側椎弓切除術(ヘミラミネクトミー)を行います。背骨を構成する脊椎の背中側の一部分(椎弓)を削り、直視下で脱出した髄核を摘出します。

 
胸腰部椎間板ヘルニア手術(手術台)
摘出した 髄核

 

ハンセンⅠ型の外科的治療(2)
胸腰部椎間板ヘルニアで腹側からの圧迫の場合
髄核が主に腹側に脱出している場合には、手術室(クリーンルーム)内のCT寝台で片側椎弓切除術(ヘミラミネクトミー)を行います。片側からの圧迫の場合と同様に椎弓を削りますが、脱出した髄核は脊髄の下(腹側)に存在するため直視での確認が困難です。そのため手術中にCT検査を行い、摘出状況を確認しながら脱出した髄核を摘出します。状況に応じて手術用顕微鏡を使用します。

 
胸腰部椎間板ヘルニア手術(CT台)
術中CT検査

 

ハンセンⅠ型の外科的治療(3)
頚部椎間板ヘルニアの場合
髄核が腹側から脱出している症例が多く、手術室(陽圧クリーンルーム)内のCT寝台で手術用顕微鏡を用いながら腹側減圧術(ベントラルスロット)を行います。CT検査で手術の進行状況を確認しながら椎体に穴を開け、その穴から脱出した髄核を手術用顕微鏡下で摘出します。摘出中、摘出後もCT検査で確認します。

 
頚部椎間板ヘルニア手術(顕微鏡)
第一手術室(クリーンルーム)内の
CT装置と手術用顕微鏡